移住と暮らし

石垣島の賃貸家賃と内見の順番|湿度と風通しで暮らしを選ぶ

2025年9月10日

梅雨どきの石垣島で賃貸を探していたころ、2LDKの部屋に入ると、ひんやりした湿り気が足首のあたりからまとわりついてきた。押入れを開けると、木と畳に混じって少しだけカビのにおいがする。数字だけ見れば本土とあまり変わらない家賃でも、「ここで暮らし続けたときの重さ」は、空気の質でだいぶ違ってくると感じていた。

石垣島の海と砂浜、湿度の高い島の環境
観光の海ではなく「ここで暮らす」前提で見る石垣島の海。環境の重さを先にイメージしておく。

家賃3割と湿度から決めておく

私は、石垣島で部屋を探すとき「家賃は手取り月収の3割以内」「湿度とにおいが許容できるか」という二つだけは先に決めていた。数字と体感の線を先に引いておくと、安さや広さだけに引っ張られにくくなり、「ここなら続けられそうだ」という感覚を自分の言葉で確かめやすくなる。

この記事でわかること:

  • 石垣島の賃貸家賃と敷金礼金の目安と、家賃は手取り3割以内に置くという私の線引き。
  • 内見で見る順番を、湿度と風通し→設備→動線という流れで整理し、紙一枚のチェックにする。
  • 家賃だけでなく除湿や光熱費を含めた維持費全体を見て、「この範囲なら続けられる」と考える。

石垣島の家賃と2LDKの部屋を、まずは空気から見る

私が暮らしていたのは、石垣島市内の2LDK・鉄筋コンクリート造の3階の部屋だった。家賃はおよそ6万円、敷金・礼金はそれぞれ1か月分。単身で暮らすには少し広めだが、ベランダからは住宅街の屋根が並んで見え、朝と夕方には遠くの波の音がかすかに聞こえた。仕事のシフトが不規則だったこともあり、「家の中で静かに回復できる場所」がほしかった。

梅雨どきは、朝から空気が重い日が続く。窓を閉め切ったままにしておくと、床の肌触りがじっとりしてきて、押入れやクローゼットを開けたときのにおいも濃くなる。私は最初の内見のときから、「家賃」と同じくらい「湿度とにおい」を見るようにしていた。

部屋に入ったら、まず玄関からベランダまでの窓をすべて開ける。数分そのままにして、部屋の空気がちゃんと入れ替わるか、「風通しがいい」という言葉が自分の体で納得できるかを確かめる。次に、押入れや収納の奥、壁際の床に手を当ててみて、冷たさやべたつき、ほんの少しのカビのにおいがしないかを静かに確認する。

開いた窓と揺れるカーテン、外気が入る室内
内見では最初に全ての窓を開けて数分待つ。写真のように風がきちんと抜けるかどうかで、「ここなら暮らしていけそうか」の感覚が変わる。(写真:Pixabay / raindancerin)

石垣島では、湿度が高い日が続くと、カビは一気に広がる。私も一度、晴れ間を狙って布団を干そうと裏側を見たとき、もう黒い点が広がっていて、ベッドとマットレスごと手放したことがある。それ以来、「数字で見る前に、空気とにおいで見る」という順番を意識するようになった。

湿度やカビ対策そのものの運用は、別の記事「石垣島の気候適応ガイド|湿度・カビ・台風への備えと運用手順」にまとめている。ここでは、あくまで賃貸の内見で「どこまで許容できるか」を決める前提だけを置いておきたい。

梅雨への備え方
厚い雲の壁に立つ淡い虹の一筋
石垣島の気候適応ガイド|湿度とカビと台風、暮らしを止めない順番

石垣島の湿度と台風とカビには、快適より暮らしの連続性を先に置き、減らす・除湿と換気・停電セットの順でゆっくり整える。

焦って決めた内見は、あとから暮らしを圧迫する

賃貸探しでいちばん暮らしが崩れやすいのは、「ここを逃したら住む場所がなくなるかもしれない」と感じたときだと私は思っている。実際、私も焦って決めて失敗したことがある。

石垣島で物件を見ていたとき、室内だけを見れば悪くない部屋に出会った。家賃も手取りの3割以内に収まり、間取りも日当たりもそこそこ良い。ただ、ゴミステーションの周りが荒れていて、袋が破れたまま放置されている光景が目に入った。石垣島では害虫、とくにゴキブリが増えると、それだけで暮らしのしんどさが一気に増える。ゴミがどう扱われているかは、部屋の中のきれいさと同じくらい気になる。嫌な予感がして、その物件はやめた。このときは、「部屋の条件だけで決めなくてよかった」と胸をなでおろした。

一方で、時系列としてはずっと後になるが、石垣から本土へ引っ越すときには焦りに負けたことがある。限られた下見のあいだに「早く決めないと」という気持ちが強くなり、共用部や周辺環境を細かく見もせずに契約してしまった。不動産会社から聞いた注意点も、そのときは「まあ大丈夫だろう」と軽く受け止めていた。

結果的に、その物件では大家さんとの距離感や生活のルールがうまくかみ合わず、こちらも落ち着かないまま、2か月ほどで再度引っ越すことになった。誰かが極端に悪いというより、こちらが確認しないまま進めてしまった結果としてのミスマッチだったと今は感じている。

石垣島でも本土でも、「家賃が予算内」「すぐ入居できる」という条件がそろうと、一気に視野が狭くなる。だからこそ私は、家賃と湿度、共用部の様子という三つの軸だけは、焦っているときほど先に確認しておくようにしている。

内見では、湿度と風通し→設備→動線の順で見る

石垣島で賃貸を探すとき、私が意識していた順番は「湿度と風通し→設備→動線」だった。まず空気の通り道とにおいを見てから、設備の負荷や使い勝手を確認し、最後に暮らしの動き方をイメージする。

  • 内見の最初に全ての窓を開けて数分待ち、風がきちんと抜けるかを感じる。
  • 押入れや収納の奥、壁際の床に手を当て、冷たさやべたつき、カビのにおいがしないかを見る。
  • 玄関→洗濯機置き場→干す場所→収納までの動線を一度歩き、段差と狭さを確かめる。
  • ベランダからの視界と、近くの建物との距離感を見て、風と光の入り方を想像する。
  • 廊下や階段、ゴミ捨て場周辺の清潔さを見て、日常のストレスになりそうな点がないかを確認する。
洗濯機から干す場所へ続く短い室内の導線
洗濯機から干す場所、収納までの導線が短いほど、湿度の高い土地でも洗濯の失敗が減る。内見中に一度歩いておきたい。(写真:Pixabay / Lisaphotos195)

設備については、「あるかどうか」だけでなく、「壊れたときどうなるか」も含めて見ておいたほうが安心だと感じている。備え付けのエアコンや換気扇は、古いまま放置されていると、湿気やカビの原因にもなりやすい。

管理会社・大家さんへの質問例

  • 網戸の張り替えはどのくらいの頻度で行っているか。
  • 過去に湿気やカビの相談があったか。あった場合、どのように対応したか。
  • 備え付けのエアコンや換気扇が壊れた場合、修理や交換は誰が手配し、費用はどちら負担か。
  • ゴミ捨て場(集積所)の使い方について、住人に伝えている注意点があるか。
  • 廊下・階段・ゴミ捨て場・駐輪場など共用部の静音時間や使用ルールが決まっているか。

質問をいくつか用意しておくと、「なんとなく不安だけど、聞かないまま終わった」という後悔が少し減る。石垣島のように湿度も高く、台風の通り道になる土地では、日常の小さなストレスが積み重なって暮らしの重さにつながりやすい。だからこそ、「どう運用しているか」を先に聞いておくことが、内見の一部だと感じている。

家賃3割と維持費の感覚で、「続けられる家」を選ぶ

家賃は数字で比べられるが、暮らしやすさは湿度と動線、そして維持費の感覚で決まってくる。私は石垣島にいたころ、家賃を手取り月収の3割以内とおおよその目安にしつつ、除湿や電気代、ゴキブリ対策などにかかる費用も合わせて「この範囲なら続けられるか」を見ていた。

最初は職場の寮からスタートし、仕事はすでに始まっていた。そのあと賃貸を探し始めて、およそ1か月ほどで暮らすことになる部屋が見つかった。荷物が少なかったこともあり、引っ越し自体はそこまで大がかりではなかったが、家電の買い替えや細かな生活用品の購入が重なり、「ようやく黒字だな」と感じられるまでには3か月くらいかかった。

この経験から、「良い家を探す」というよりも、「この家賃と維持費なら自分の生活リズムで続けられるか」という視点のほうが、結果的に後悔が少ないと感じている。数字の条件が整っていても、湿度やにおい、共用部の様子が合わなければ、毎日少しずつ疲れていく。反対に、完璧ではなくても「ここならやっていけそうだ」と思える線があれば、多少の不便は工夫で吸収できる。

石垣島で賃貸を選ぶときは、家賃を手取り月収の3割以内と自分なりの目安に置き、そのうえで湿度と風通し、設備と動線、そして維持費の感覚をゆっくり重ねていく。その積み重ねが、「ここで暮らしていく」という腹の決まり方にもつながっていくと私は感じている。

静かに続けられる家を選んでいきたい。

※本記事は個人の体験に基づく一般的な情報であり、最新の状況や安全上の注意は、石垣市や関係機関・事業者の公式案内で必ず確認してください。

※本記事は特定の行動や結果を保証するものではなく、医療・法務・金融など専門的な判断が必要な事項については、公的機関や専門家の情報・助言の確認を前提としてください。

(筆者注:移住者の視点で執筆/最終更新:2025-11-29)

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迷いを減らす補助線として、近い論点の二本をそっと添えておきます。

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