移住と暮らし

石垣島のネット回線で在宅勤務|光+モバイルで無理なく続ける

2025年10月1日

水辺と岩場を背景にしたWi-Fiマークの白いカード
島の風景の中でも、ふだんの暮らしを支えるのは見えない回線。(写真:Pixabay / rawpixel)

窓の外で雲が低く流れ、湿った風が部屋に入り込む。石垣島で在宅勤務をしていると、ふだんのネット回線は意外なほど安定している一方で、台風の予報が出るだけで「今日はどこまで仕事を前倒ししておこうか」と考えることが増えた。停電の気配がある日は、暮らしと仕事の両方に少しだけ構えが要る。

予備と退き際を決めておく

私は、島での在宅勤務では「絶対に止まらない回線」を目指すより、ふだん使う光回線とモバイルの予備、それでもだめなときにどこで仕事をやめるかを先に決めておくほうが、暮らしと仕事の両方を落ち着いて回しやすいと感じている。

具体的な回線プランや料金の違い、そのメリット・デメリットは、実務寄りの別記事で整理するつもりだ。ここでは、石垣島で在宅勤務をするうえでの暮らしの前提と、回線が不調なとき・停電したときの退き際だけを置いておきたい。

この記事でわかること:

  • 石垣島で在宅勤務を想定し、主回線と予備回線と最終手段の三つをどう重ねて暮らすか。
  • 回線トラブルや停電のときに、会議や作業をどこから別の手段に切り替え、どうにもならない状況ではどこで一度仕事を止めるかという線引き。
  • 自宅だけに頼らず、徒歩圏のコワーキングや公共施設など非常時に一時退避できる場所をどう選び、ふだんから軽く準備しておくか。

石垣島の暮らしで組んだ、在宅勤務の前提

ここで想定しているのは、石垣市内の賃貸アパートやマンションで、自分で契約した光回線を引いている暮らしだ。会社側とも「台風の週は多少の乱れはあり得る」という前提を共有したうえで、フルリモートではないが在宅勤務の比重がそれなりにある働き方を続けている。

ここで書いているのは、子どもが生まれて三人暮らしになってからの数年間の、自宅での在宅勤務の様子だ。昼は私が家で仕事をしつつ、合間に家の用事や子どもの世話を挟む。日中の家事や子どものリズムと、オンライン会議の時間割をどう重ねないようにするかが、暮らしの前提になる。

引っ越しのとき、入居初日から完璧なネット環境を整えることはあきらめた。電気と水道を優先し、光回線の工事は数週間ずれ込むものとして見ておく。最初の月は、自宅の回線が整うまでは自分のスマホのテザリングでしのぎ、どうしても外せない会議がある日は近くのコワーキングスペースも視野に入れておく、というラインにしていた。

在宅勤務用の回線構成は、おおむね次の三つの重ね方だった。

  • 主回線:自分で契約した光回線(賃貸の部屋まで引き込んだ回線)
  • 予備回線:在宅勤務と出張の両方で使えるモバイルWi-Fi
  • 最終手段:スマホのテザリングと、徒歩圏のコワーキングスペース
青い背景を背に、スマートフォンを手に持つ人物の写真
光回線が不調なときは、モバイル回線やテザリングを予備として重ねておく。(写真:Pixabay / TheDigitalArtist)

石垣島だからといって、ふだんの速度が極端に遅いと感じたことはあまりない。混みそうな時間帯に少し重いかな、という感覚は本土と大差ない印象だ。ただ、出張でも使えるモバイルWi-Fiを持つようになってから、「結果的に自宅の予備にもなっている」という状態になり、気持ちの余裕は少し増えた。

台風の予報が出ている週は、空を見て回線の機嫌をうかがうというより、ニュースと台風の進路予想を確認して、「今週はどこまで前倒ししておくか」を決める。当日の負荷が高い作業は、なるべく別の日に移せないかも一緒に考える。外の風の音がいつもより強くなったら、生活と仕事のスイッチをどこで切り替えるかを一度考えておくくらいだ。

暮らしと仕事がまとめて止まりやすい瞬間を認める

石垣島のネット回線は、ふだんはそれなりに安定している。会議の途中で何度も映像や音声が途切れる、といったことは、少なくとも私の環境では多くない。それでも、暮らしと仕事がまとめて止まりやすい瞬間はある。

ひとつは、停電が起きたときだ。照明もエアコンも止まり、冷蔵庫や洗濯の予定も一度リセットされる。仕事どころではなく、まず暮らしのほうを優先して動くことになる。もうひとつは、電気は生きているのにネットだけがつながらないときだ。原因が分からない構内トラブルのようなもので、ルータを何度か再起動しても状況が変わらない夜が一度だけあった。

私は一般社員で、回線が不調だからといって「今日は諦めます」では通用しない立場だ。取引先や経営層が参加するような会議は、最初から在宅にせず、事前に別の場所や日程を会社側と相談しておく。同僚だけの軽いミーティングなら、自宅から音声のみで参加し、「もし不調ならチャットでフォローする」と最初に共有しておく。

暮らしが崩れやすいのは、停電や原因不明の不通が重なり、家の中の段取りと仕事の予定が一度に止まりそうになった瞬間だ。だからこそ私は、「会議に出る場所」と「その日の暮らしの余力」をセットで見ておくようにしている。仕事だけでなく、子どもや家事のリズムも含めて守る対象になる。

無理しないための小さな工夫

ここからは、私が石垣島で在宅勤務を続けるうえで取り入れている小さな工夫をまとめておく。どれも特別な機材ではなく、「このくらいなら続けられる」と感じている範囲のものだ。

  • 主回線(光)と予備回線(モバイル)の役割を決めておき、ときどき切り替えテストをする。ふだんは光回線、月に一度くらいはモバイル側に切り替えて、チャットや簡単な会議が問題なく動くかを確認しておく。
  • 重要度の高い会議は、場所や日程を最初から決めておく。経営層や取引先が出る会議は、可能なら回線の安定した場所から、同僚だけの軽い打ち合わせは在宅から、といった線引きを先にしておくと迷わない。
  • 在宅から出る軽めのオンライン会議では、映像がなくても内容が分かるように議題を絞り、画面共有も最小限にしておく。少し途切れても致命的になりにくい進め方にしておくイメージだ。
  • 台風の予報が出た週は、早めに必要な資料のダウンロードやバックアップを終えておく。落ち着いて作業できる時間に、最低限必要なファイルだけノートPCにも控えるようにしている。停電してしまえばルータもPCも止まるので、そこまでに仕事を切り上げられるように前倒ししておくイメージだ。
  • 最寄りのコワーキングスペースを一度試しておく。料金や雰囲気、混み具合を知っておくだけで、「いざとなれば移動できる」と思える。
  • 仕事用のチャットやメールのアプリは、PCだけでなくスマホにも入れている。固定回線が落ちても、「今日はここで一度別の手段に切り替えます」と短く連絡できるだけで、焦り方がだいぶ違う。
自然光が差し込む静かなコワーキングスペースの共用テーブル
在宅が不安な日は、徒歩圏のコワーキングスペースという逃げ場をひとつ持っておく。(写真:Pixabay / Pexels)

振り返りと、これからの暮らしの線引き

在宅勤務を始めた当初は、自分で契約した光回線ひとつだけで仕事を回していた。石垣島だからといって特別遅いと感じることはあまりなく、「このままでもやっていけそうだ」と思っていた時期もある。予備回線についても、最初はそこまで必要性を感じていなかった。

出張の移動中にも使えるようにとモバイルWi-Fiを契約したことで、状況は少し変わった。外で仕事をするための道具として用意したつもりが、結果として自宅での在宅勤務の予備回線にもなった。さきほど書いたように、電気は生きているのにネットだけがつながらなかった晩が一度あったが、そのときは「ここまでやって今日は終わり」と決め、残りは翌日に回した。正直なところ、その瞬間には「今日はもうここまででいいか」と少しだけ肩の力が抜けた自分もいた。

この経験以降は、「完全に止まらない回線」を求めるよりも考え方を変えた。たとえ回線が止まってしまっても、スマホから連絡ができ、必要なら別の場所で会議に出られるようにしておく。そのうえで、どうにもならない停電のようなときは、その時点で仕事そのものを終わりにする、という線を自分の中に引いている。

私の場合は、ここまで書いてきた「光回線/モバイルWi-Fi/テザリング+コワーキング」の三つの重ね方があったからこそ成り立っている話だ。住む場所や仕事の種類によって、許容できるラインは変わってくると思う。それでも、「落ちたらどうするか」と「どこから別の手段に切り替えるか」「どこで一度やめるか」を先に決めておくことは、どの暮らしにも応用できると感じている。

夜風がカーテンを少しだけ持ち上げ、ルータの小さなランプが静かに点いたり消えたりする。その揺れを見ながら、「今日はここまで」と静かに決める日があってもいい。

※料金や契約条件は変更されることがあります。最新の内容は、石垣市や関係機関・事業者の公式案内で必ず確認してください。

※本記事は個人の体験に基づく一般的な情報であり、特定の行動や結果を保証するものではありません。医療・法務・金融など専門的な判断が必要な事項については、必ず公的機関や専門家の情報・助言を確認してください。

(筆者注:移住者の視点で執筆/最終更新:2025-12-08)

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