子育ての記録

保育園に通わせない現実と運用――在宅2人体制×2歳同室の時間設計

2025年9月6日

朝の食卓に湯気がのぼる。窓の外の空気はまだ少し冷たく、部屋の中だけがゆっくり温まっていく。日中は家に大人が二人と、同じ部屋で過ごす二歳児が一人。私も妻も在宅が中心のため、いまは保育園に通わせていない。日中は大人が二人いるが、夕方からは妻が仕事で外に出る。夜は私が主に子どもを見る番になる。その前後の時間の使い方が、わが家の運び方を決めている。時間はいっしょに抱えるほど重くなる。朝・昼・夕方・夜と、一日をいくつかの時間枠に区切っておくと、「いまはどの時間か」がはっきりして、少し軽くなるように感じている。

湯気の立つマグと本 静かな朝のテーブル
静かな朝のテーブル。今日の枠を思い浮かべる時間。(写真:Pixabay / freephotocc)

寝始めと交代を先に決める

保育園に通わせない選択をしたとき、「その日その場で何とかする」やり方では長く持たないと感じた。親の寝始めと起床の目安を先に決め、その中をいくつかの時間枠に分ける。そして、それぞれの枠で「誰が子どもを主に見るか」をあらかじめ決めておくと、仕事と育児の境界が少しだけ見えやすくなる。

この記事でわかること:

  • 保育園に通わせない前提で、在宅二人体制の一日の流れをおおまかに枠でとらえる考え方
  • うまく回らない時間帯をそのまま認めつつ、交代のタイミングと小さな区切り方で整えていくためのルール
  • 睡眠と予備枠を優先し、「今日はここまで」と線を引くことで暮らしを安定させる視点

在宅二人体制の朝を切り取る――静かに始める

方眼ノートとペンと白いカップ 静かな机上
午前の準備。仕事と育児の切り替えを意識する時間。(写真:Pixabay / Pexels)

わが家の朝は、子どもの気配から始まる。小さな足音と、布団をはい出る音。カーテンの隙間からさす光に、ほこりがふわりと浮いているのが見える。私はコーヒーを落としながら、今日の枠をぼんやりと思い浮かべる。午前は私が仕事に集中する時間、妻が子どもの相手と家のことを進める時間。午後はゆるく役割を交代する。

保育園に通わせていないぶん、一日のあいだに子どもの声が途切れない。会議の合間に積み木が転がり、資料の端にクーピーが転がってくる。外に預ける代わりに、家の中に「ここからここまでが仕事寄り」「ここから先は家事と育児寄り」という、目には見えない線を引いておく。その線があるだけで、同じ一日でも少し扱いやすくなる。

私は、外に出すか出さないかだけでなく、「家の中をどう分けるか」にも価値を置いている。保育園に通わせない現実は、覚悟や根性ではなく、地味な線引きの積み重ねでしか回らないのだと思っているからだ。

うまくいかない瞬間をそのまま認める――混ざりやすい時間

もちろん、きれいに分けたつもりの枠は、よく崩れる。集中したい時間に限って、子どもが本を読んでほしいと膝によじ登ってくる。ちょうど出かける準備をしようとしたときに、急ぎの電話が鳴る。妻と私のあいだで、「今はどちらの時間なのか」があいまいな瞬間も少なくない。

互いに疲れているときほど、「さっきはそっちが長く集中していた」「今日は自分のほうが寝不足だ」といった、細かな感情が積もりやすい。そういう日は、たいてい小さな遅れがいくつも重なった結果だ。子どもやパートナーのせいではなく、「枠の決め方」と「予備の余白」が足りなかった、とあとから気づく。

全部を取り返そうとすると、夜に詰め込みがちになる。私は最近、「今日はここまでで止める」と決めること自体を、ひとつの仕事だと思うようにしている。思ったように進まない日があるのは、保育園に通わせていても、預けていなくても同じだ。

小さな枠とゆるい交代ルールで整える――続けやすく

白いメモが三枚並ぶロープと木目の壁面、静かな室内
ざっくりした時間枠を、目で見える形に置いておくためのイメージ。(写真:Pixabay / Bru-no)

わが家で続けているのは、完璧ではなく「だいたいこのくらい」の枠をいくつか用意しておくことだ。細かなスケジュール表をびっしり埋めるのではなく、「午前前半・午前後半・午後・夜」といった大まかな時間帯をいくつか決めておくイメージに近い。

  • 親それぞれの睡眠が、日ごとに大きく偏らないようおおまかに整えておく。
  • 午前は誰が主に子どもを見るか、午後はどう交代するかを事前に話しておく。
  • 集中作業や電話対応など「混ぜたくない仕事」は、一区切りで終えられる大きさに分ける。
  • 家事も「洗濯を回すところまで」「食器を片づけるところまで」と、完了が分かりやすい単位に区切る。
  • どちらか一方が限界に近そうな日は、その日の残りを思い切って減らし、別の日の枠にまわす。

交代の声かけも、できるだけシンプルにしている。「今から少し仕事に集中したい」「じゃあそのあいだは任せて」程度の短い言葉で十分だ。うまくいかなかった声かけは、あとでメモに残して、次の日に少し言い換えてみる。立派な台本はなくても、家庭ごとにしっくりくる言い方は、試していくうちに少しずつ見つかる。

ただし、娘と台所でいっしょに遊ぶときの声かけだけは、流れごとにメモとして別に残している。

料理遊びの声かけ集
素朴なクラッカーを重ねた手元の質感
2歳の親子の料理遊び声かけ台本|短い合図で終わりまでつなぐ

2歳の料理遊びを、短い声かけと終わり方の型で静かに回す記録。途中でやめても「今日はここまで」と静かに言いやすくする。

小さな区切りで終わる作業の例を、ノートの端に書き出しておくと便利だ。どこまでできれば「今日はここまで」と言えるのかが見えていると、中断からの戻り道が分かりやすくなる。メールを数通返信する、資料のレイアウトだけ直す、ご飯のストックを一回分だけ仕込む。そういった小さな完了を積んでいくことで、途中で呼ばれても戻りやすくなる。

振り返りとこれからの線引き――守りたいものを先に置く

保育園に通わせない暮らしを続ける中で、私は「撤退は失敗ではない」と考えるようになった。昼に予定していた仕事を別の日に回したり、外出をやめて家で過ごす日に切り替えたりするのは、その日を守るための選択だ。

日中は在宅二人体制で子どもと同じ部屋にいて、夜は私が主に子どものそばにいる。そうすると、仕事も育児も、いつでも少しずつ延長できてしまう。だからこそ、先に守りたいものを決めておく必要がある。わが家の場合は、親の睡眠と、子どもの安全な居場所だ。この二つを先に置いておけば、仕事の段取りや家事の量は、あとからでも多少の調整がきく。

私は、「睡眠の目安」「大きな時間枠」「交代のルール」「予備の余白」の四つを、これからも静かに守っていきたいと思っている。保育園に通わせるかどうかにかかわらず、どの家庭もそれぞれの線引きを見つけていく途中なのだと思う。

今日やる1つ――カレンダーに枠を描いてみる

【所要10〜15分/準備=カレンダーとメモアプリ】

今日は、スマホか手帳のカレンダーに「朝・昼・夕方・夜」の四つの枠を書き込んでみる。どの枠で誰が主に子どもを見るのか、どの枠を仕事寄りにするのかを、ざっくりメモに残す。完璧でなくていいので、今の暮らしに近い形で一度書いてみる。

できあがった枠を眺めてみて、「ここだけは守りたい」「ここは減らしてもよさそうだ」と感じる場所に印を付ける。その印が、明日の自分の味方になる。

※本記事は、一家庭の体験と日々の観察に基づく一般的な記録です。育児・健康・発達に関する判断は、医療機関や専門家、各家庭の方針を優先してください。

(筆者注:生活者の視点で執筆/最終更新:2025-12-06)

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