移住と暮らし

石垣島の台風対策|窓まわり三点で暮らしの不安を静かに減らす

2025年10月31日

石垣島で台風が近づく夜、窓の外は湿った風で白くかすみ、カーテンだけがわずかに揺れる。ガラスは静かでも、サッシのきしみやレールを伝う低い振動に、家の弱い部分がここに集まっていると感じる。独身で一人暮らしをしていた頃、私はまずこの窓まわりの不安から向き合うようになった。

窓は三点で守り方を決める

石垣島の台風では、この三点をあらかじめ決めておくと、窓まわりで慌てる場面が減り、強い風の夜も作業と気持ちを少し整えやすくなり、毎回ゼロから迷うのではなく決めた順番になぞって動ける。

白い飛沫を上げる青い波と暗い海面
段取りは波が荒れる前に決めておくと、室内も静かに落ち着きやすい。(写真:Pixabay / dimitrisvetsikas1969)

この記事でわかること:

  • 石垣島で台風が近づくとき、窓ガラスとサッシと室内をどの順番で整えるかを、生活者目線で整理した手順。
  • 養生テープに頼りすぎず、雨戸やシャッターをどう位置づけるかなど、窓まわりを無理なく守るための考え方。
  • 窓ガラスが万が一破損したときの確認と連絡の流れなど、通過後に慌てないための最低限の手順。

石垣島の台風前夜、窓まわりに集まる空気を見ておく

石垣島の登野城地区の賃貸アパートで暮らしていた頃、台風が近づくと、窓の外は急に白くかすみ、ベランダの手すりに水滴が溜まっていった。昼間まで干していた洗濯物の気配や、プラスチックの物干し台の軽い揺れに、ここから先は「外に置きっぱなしにしてはいけない時間帯」に入ったのだと気づく。

私の部屋は、ベランダに出入りするガラス戸と、そこにかけたカーテンがあるだけのシンプルな造りだった。強い風のたびに、ここが家のいちばん弱い場所に思えた。

それでも、窓まわりに「いつ・どこから片付けるか」という順番を一度決めてからは、台風のたびにゼロから悩む時間が減った。ニュースやアプリの情報は気にしつつも、実際に手を動かすときは〈屋外→窓→室内〉の三つに分けて考えるようにしている。

実際に部屋を選ぶときは、家賃や間取りだけでなく、窓の向きや風の抜け方、湿気のたまり方も合わせて見ておきたい。そうした内見の順番や考え方は、『石垣島の賃貸家賃と内見の順番|湿度と風通しで暮らしを選ぶ』でまとめている。

家賃と内見
石垣島の静かな海と砂浜、湿り気を含む空気
石垣島の賃貸家賃と内見の順番|湿度と風通しで暮らしを選ぶ

石垣島の賃貸家賃を手取り3割と見て、湿度と風通しと共用部から「ここなら続けられるか」を静かに考えるための目安を置く。

暮らしが崩れやすいのは、直前に全部やろうとしたとき

最初の頃は、台風予報が出ても「まだ晴れているから」とベランダを後回しにし、直前になって慌てて片付け始めることが何度かあった。濡れた物干し竿を抱えて室内を往復しながら、「もっと早く始めればよかった」と分かっていても、毎回同じことを繰り返してしまう。

窓の養生も同じだ。テレビで見かけた格子状のテープ貼りを真似しようとして、途中でテープが足りなくなり、見た目ばかりが派手で頼りない状態になったことがある。剥がすときには糊が残り、通過後の片付けに余計な時間がかかった。

風が予報より早く強くなり、外に出るのを途中でやめた回もある。あのときは「ここまでで一度終わりにする」と決めて室内に戻り、危ないと感じた作業はその台風ではやめて、次の台風前に手順そのものを見直した。全部を一度でやろうとすると、判断も体力も足りなくなる。

こうした「思いつきの対策」は、その瞬間は安心材料になるが、暮らし全体を見ると負担が大きい。私は、どこまでを自分の守備範囲にするか、どこから先は建物の性能や公的な避難情報に委ねるかを、少しずつ分けて考えるようになった。全部を自分の工夫で何とかしようとすると、気力も体力も持たない。

無理しないための小さな工夫――窓まわり三点チェック

ここからは、「窓ガラス」「サッシ」「室内」の三点で、自分なりに決めている小さな工夫をまとめる。

風雨から窓を守る木製ルーバー雨戸のクローズアップ
雨戸やシャッターがある家は、窓ガラスへの直接の衝撃をある程度和らげやすいと言われている。(写真:Pixabay / efes)
  • 台風の予報が出たら、早めに屋外を片付け始める。予報図で自分の地域が強風域に入る前までにベランダを空にしておくことを、ひとつの目安にしている。
  • ベランダでは、物干し台や鉢植え、軽い収納箱など「落ちたら困るもの・飛んだら困るもの」を部屋の隅にまとめる。それ以降は外には出ない前提にしている。網戸は普段どおりの位置のままにし、無理に外したりはしていない。
  • 窓ガラスについては、台風前に特別なことはほとんどしていない。砂や塩がついても、通過後に天気が落ち着いた日にまとめて水洗いするぐらいだ。窓ガラスへの養生テープは、割れそのものを防ぐ決定的な方法ではないとする解説もあり、自分の暮らしではカーテンを閉めることと窓から少し離れて過ごす前提を優先している。
  • サッシまわりでは、下側の溝と「水が抜けていく小さな穴」を一度確認しておく。古いタオルや布で軽く拭き取り、雨水がたまりにくい程度まで整えておく。
  • 室内側では、寝る場所やくつろぐ場所を窓から少し離しておく。おおよそ窓から体が2mほど離れる位置を目安に、ベッドや布団の向きを変えている。カーテンは強い風が吹き始める前に閉め、万が一ガラスが割れても布が一枚挟まる状態にしておく。
  • 停電や断水に備えて、懐中電灯やモバイルバッテリー、飲料水と生活用水は、窓まわりの片付けと同じタイミングで確認する。足元を守るために、底の厚いサンダルや靴を一足、いつでも履ける場所に置いておくことも習慣にしている。
  • 通過後は、無理にすぐ片付けをしない。明るくなってから窓まわりを見回り、ガラスが万が一破損していれば写真を撮って、管理会社や保険窓口に連絡する。床やサッシまわりに残った砂や細かい汚れは、落ち着いてから中性洗剤と水拭きで少しずつ落としていく。

どの項目も「必ず全部やる」ではなく、そのときの体調や台風の進み方で、できるところまでを選ぶ前提にしている。具体的な避難行動や安全判断は、石垣島地方気象台や自治体の公式情報を最優先にしつつ、日常の範囲でできる準備だけを担当する、という線引きだ。

振り返りと、これからの暮らしの線引き

何度か台風を経験してみて、一番の学びは「直前に新しい工夫を増やさない」ということだった。窓ガラスとサッシと室内の三点を、あらかじめ自分なりの手順で決めておけば、毎回同じ順番で手を動かせる。うまくいかなかった回があれば、その一つだけを次回に直せばいい。

床に散ったガラス片のクローズアップ
万が一ガラスが割れたときは、まず靴を履いて破片の有無を確かめてから動くと安心できる。(写真:Pixabay / Mitrey)

これからも、窓まわりについては〈屋外の物を早めに退かす/サッシまわりの水の逃げ道だけ整える/室内の退避距離と靴を決めておく〉という三つを基本線にしておきたい。実際に暮らしていた部屋には雨戸はなかったが、雨戸やシャッターがある家ならガラス面への直接の衝撃をある程度防げると言われていて、準備の手順も一段分かりやすくなるのだろうと思う。養生テープや特別な道具は「あるときだけ補助で使うもの」と位置づけ、本当に必要かどうかを台風ごとに考える。

石垣島での暮らしは、台風とまったく無縁にはなれない。それでも、窓まわりの守り方を一度言葉にしておくと、次の台風が来たとき、前より少し落ち着いて準備ができる。家の造りや立地によって最適な答えは変わるが、「自分の線引き」が一つあるだけで、台風の夜も少し穏やかに過ごせる。

※料金や契約条件は変更されることがあります。最新の内容は、石垣市や関係機関・事業者の公式案内で必ず確認してください。

※本記事は個人の体験に基づく一般的な情報であり、特定の行動や結果を保証するものではありません。医療・法務・金融など専門的な判断が必要な事項については、必ず公的機関や専門家の情報・助言を確認してください。

(筆者注:移住者の視点で執筆/最終更新:2025-12-12)

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