移住と暮らし

石垣島移住の費用と仕事・住まい|90日で暮らしの土台を考える

石垣島に着いてしばらくは、買い物袋と寝具と日用品で、部屋の中が少しずつ埋まっていった。湿気のある空気の中で、タオルや服の乾き方を見ながら、財布の残りも何となく気になっていた。

当時の私は40万円ほど持って行ったが、費用を深く考えていたとは言いにくい。「行けば何とかなる」と思っていた。まあ、かなり雑な見積もりだった。

この記事でわかること

  • 石垣島移住前に、費用・仕事・住まいをどの順番で見るか
  • 初期費用と毎月の生活費を分けて考える理由
  • 最初の90日で、暮らしの土台をどう確認するか
石垣島の市街地と海を高台から見渡した風景

費用だけでなく、90日で暮らしの土台を見る

石垣島移住は、最初から費用表だけで判断するより、仕事・住まい・生活動線まで並べて、暮らしが回るかを仮で確認したほうが現実に近い。

石垣島移住は、費用だけでなく仕事・住まいを並べて見る

石垣島移住を考えると、最初に気になるのは費用だと思う。飛行機代、引っ越し代、家賃、生活費。数字にできるものは、不安を少し整理しやすい。

ただ、実際に暮らし始めると、費用だけでは見えない部分が出てくる。仕事が続くか。住まいで休めるか。買い物に行けるか。悪天候の日に移動できるか。このあたりが崩れると、手元のお金が残っていても生活は落ち着きにくい。

私は2006年ごろ、東北から石垣島へ単身で移住した。距離でいえば約2,000kmほどある。今思えば、移動することばかり見ていて、暮らし始めたあとの数字をほとんど見ていなかった。

仕事は知人紹介で、到着日に面接が決まっていた。だから、仕事面ではかなり楽観的だった。けれど最初の仕事は1週間で辞めることになった。仕事があることと、その仕事で暮らしが続くことは別だった。

住まいも同じだ。最初は職場が用意した相部屋の寮だった。家賃面では助かったが、相部屋は思っていた以上に気を遣った。寝る場所があることと、休める場所があることも、やはり別だった。

費用は「一度きり」と「毎月」に分ける

石垣島移住の費用を考えるとき、私はまず「一度きりのお金」と「毎月出ていくお金」に分けたほうがいいと思っている。一度きりのお金は、移動費、引っ越し、寝具、日用品、住まい関係、当面の生活費などだ。

私の場合は、移住直後に寝具や生活用品をそろえるお金が出ていった。それ以外に、観光費や交際費もあった。新しい友人と飲みに行く機会もあったし、歓迎会や送別会もあった。

リゾートバイトで来ている人が多い時期は、人の出入りもある。そういう出費は、家賃や食費のように見積もりやすくない。でも、地味に財布を削る。

毎月のお金は、家賃、食費、通信費、移動費、日用品、交際費などだ。当時の私の手取りは、月10〜12万円ほどだった。生活費は月7〜9万円ほどを意識していた。これはあくまで当時の個人体験で、今の相場とは分けて見たほうがいい。

大事なのは、「いくらあれば移住できるか」を一発で決めることではない。最初の90日を使って、何にお金が出ていくかを見える形にすることだ。一度きりの出費で減るお金と、毎月じわじわ減るお金は、疲れ方が違う。

噂の見分け方
ノートパソコンとメモを広げ、石垣島移住前の情報収集と確認項目を整理している机上の風景
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仕事と住まいは、90日だけ仮で見る

移住後の仕事は、収入額だけで見ると少し危ない。もちろん収入は大事だ。生活費と釣り合わなければ、暮らしは続きにくい。ただ、収入があっても、職場の空気や仕事の進め方が合わないと消耗する。

私は最初の仕事を1週間で辞めた。細かい事情は書かないが、人間関係や職場内の空気が、想像していたものと違った。石垣島が悪いという話ではない。どの土地でも、仕事には相性があるというだけだ。

その後は、友人が働いていた寮付きのリゾートホテル勤務につながった。結果として助かったが、これも「最初から計画できていた」とは言えない。たまたま人のつながりがあり、寮付きの受け皿があっただけだ。

住まいも、家賃だけでは判断しにくい。安い部屋でも、職場や買い物先が遠いと日々の負担が増える。特に車なしで動く場合、通勤距離と天気の影響は思ったより大きい。

私の最初の寮は、職場まで自転車で約20分ほどだった。晴れている日は、そこまで問題に感じなかった。けれど、悪天候の日の自転車通勤はきつかった。雨や風の日に、その20分が急に重くなる。

最初の仕事や住まいを、いきなり永住の答えにしないほうがいい。まずは90日だけ仮で見て、続けるか、変えるか、戻るかを判断できる状態にしておく。そのほうが、移住そのものを失敗か成功かで決めつけにくい。

観光から生活に変わると、不便さと相性が見えてくる

石垣島は、観光で行くと気持ちのいい場所だ。海も空も近いし、歩いているだけで非日常感がある。ただ、生活が始まると、見る場所が変わる。

スーパーの場所、病院までの距離、銀行や郵便局の使いやすさ。雨の日の移動、台風時の備え、湿度への慣れ方。洗濯物の乾き方や、部屋の風通しも、暮らしになると毎日の条件になる。

観光で数日いるだけなら流せることでも、生活になると積み重なる。暑さや湿度に合わず、3か月ほどで帰った人もいた。娯楽の少なさや生活の不便さがじわじわ効いて、短期間で帰った人もいた。

それは失敗というより、相性を確認した結果だったのだと思う。好きな場所でも、毎日の暮らしとして合うかどうかは別に見たほうがいい。このあたりを見ないまま「移住できるか」だけ考えると、話が急に根性論になる。

最初の90日は、永住できるかを決める期間ではない。費用、仕事、住まい、生活動線、天候への負荷を仮で並べる期間にする。そのほうが、夢を壊さずに現実を見られる。

続ける・移る・戻るを選べる状態にしておく

移住前は、どうしても「行くか、行かないか」で考えやすい。けれど、実際の暮らしはそこまで単純ではない。行ったあとにも、続ける、仕事を変える、住まいを変える、戻るという選択肢がある。

私は、最初から全部を決めきらなくていいと思っている。ただし、見ないふりをしていいわけでもない。お金、仕事、住まい、移動、天候、湿度。このあたりを最初の90日で見るだけでも、判断はかなり変わる。

当時の私は、勢いで動いた部分が大きかった。その勢いがなければ、石垣島へ行っていなかったかもしれない。一方で、生活の土台をもう少し見ておけば、余計な不安は減らせたと思う。

移住は、夢を消す話ではない。夢に、寝る場所と仕事と買い物袋と雨の日の通勤を足す話だ。急に所帯じみるが、暮らしはだいたいそこから始まる。

次の一歩

最後にやることは、大きな決断ではなく、スマホのメモに5つだけ書いておくことだ。

初期費用、毎月の生活費、仕事、住まい、生活動線。この5つを「最初の90日で見ること」として、1行ずつ残しておく。

初期費用は、移動費や寝具、日用品など最初にまとまって出ていくお金。毎月の生活費は、家賃や食費、通信費、移動費など、暮らし始めてから続いていくお金だ。

仕事は、収入だけでなく続けられそうかを見る。住まいは、家賃だけでなく休める場所になっているかを見る。生活動線は、スーパー、病院、銀行、郵便局、職場まで無理なく動けるかを見る。

90日後に見直す条件も、ひとつだけ決めておく。費用が不安になったときは、検索を増やす前に、そのメモへ戻る。

完璧に決めなくていい。ただ、暮らしが回る土台だけは、先に少し見ておいたほうがいい。

※本記事は一般的な情報と筆者の体験に基づく。結果や判断の正しさを保証するものではない。

(筆者注:無理のない範囲で、暮らしが回る前提を優先)

―― ネギマ|暮らしをことばに残す人

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